「特殊船舶」とは具体的にどんな船舶なのかと、「政令で定めるもの」を除く理由について

関税法等

ワリオです。関税法の最初の方に出てくる用語の1つ「特殊船舶等」って、条文だけだとなんか分かりにくいですよね。

関税法第15条の3第1項(特殊船舶等の入港手続

開港又は税関空港に入港しようとする特殊船舶等本邦と外国との間を往来する船舶又は航空機で外国貿易船又は外国貿易機以外のもの公用船、公用機その他の船舶又は航空機のうち政令で定めるものを除く。をいう。以下同じ。)の船長又は機長は、通信設備の故障その他政令で定める場合を除き、政令で定めるところにより、あらかじめ、当該特殊船舶等の名称又は登録記号及び国籍のほか、当該特殊船舶等の旅客(当該特殊船舶等に旅客が乗船し、又は搭乗する場合に限る。)及び乗組員に関する事項で政令で定めるものをその入港しようとする開港又は税関空港の所在地を所轄する税関に報告しなければならない。

下のサイトに「特殊船舶」の具体例が載っていました。

関税法での「特殊船舶」とは | 通関士、検定試験対策Blog (globalbizgate.com)

  • 遠洋漁業のために船舶(マグロ漁船や捕鯨船)
  • 外航能力のある個人のクルーザー
  • 海底ケーブル敷設船
  • 海洋調査船

一方、特殊船舶等から除く「用船、公用機その他の船舶又は航空機のうち政令で定めるもの」とは、関税法施行令第13条の3で定める入港届の提出を要しない外国往来船等のことです。

関税法施行令第13条の3(入港届の提出を要しない外国往来船等) 

法第15条の3第1項(特殊船舶等の入港手続)に規定する政令で定める船舶及び航空機は、外国の軍艦及び軍用機、海上における保安取締り及び海難救助に従事する公用船及び公用機並びに自衛隊の船舶及び航空機とする。

分かりにくいので箇条書きに。

  • 外国の軍艦及び軍用機
  • 海上における保安取締り及び海難救助に従事する公用船及び公用機
  • 自衛隊の船舶及び航空機

最期の「自衛隊の船舶及び航空機」は令和2年頃の改正で追加されたようで、追加の経緯が「令和2年度関税改正の概要」(参議院常任委員会調査室・特別調査室「立法と調査」2020. 2 No. 420)に書いてあります。自衛隊の働き方改革のためだったんですね。

イ 入港手続の対象船舶等の見直し
我が国に入港する船舶及び航空機は、関税法上、①外国貿易船等、②特殊船舶等、③政令で定める公用船等に区別されており、①及び②は入港のための税関手続が定められているが、③は手続が不要である。現在、外国の軍艦、海上保安庁の船舶等は公用船等として指定されているが、自衛隊の船舶等は指定されていない。近年、自衛隊の国際協力等の海外活動は増加しており、入港手続が自衛隊員の事務負担となっている。
令和2年度関税改正では、自衛隊員の負担を軽減し、効率的な任務遂行に資するため、自衛隊の船舶等についても外国の軍艦等と同様に公用船等として指定し、入港手続の対象から除外することとしている。

参議院常任委員会調査室・特別調査室「立法と調査 2020. 2 No. 420」p.42令和2年度関税改正の概要 (sangiin.go.jp)

「入港手続の対象船舶等の見直し」(令和元年11月25日関税・外国為替等審議会・関税分科会・財務省関税局)という資料にはもう少し詳しく経緯が書いてあります。

出典:財務省ウェブサイト「入港手続の対象船舶等の見直し」(令和元年11月25日関税・外国為替等審議会・関税分科会・財務省関税局)kana20191125siryo4_2.pdf (mof.go.jp)
出典:財務省ウェブサイト「入港手続の対象船舶等の見直し」(令和元年11月25日関税・外国為替等審議会・関税分科会・財務省関税局)kana20191125siryo4_2.pdf (mof.go.jp)
出典:財務省ウェブサイト「入港手続の対象船舶等の見直し」(令和元年11月25日関税・外国為替等審議会・関税分科会・財務省関税局)kana20191125siryo4_2.pdf (mof.go.jp)

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