協定税率・便益関税、EPA税率適用の特例申告貨物の原産地証明書も「提出させることができる」

関税法等

ワリオです。私がとても悩まされた過去問を紹介します。2020年受験勉強当時は、非みこ会員にも関わらず、みこ様が私の疑問ツイートに返信してくださり、財務省にまで問い合わせてくださいました。今回再投稿するに当たり、もう一度問題を読み直したら、やはり問題文の語尾がポイントだなと改めて思いました。

過去問

まずこの2問を考えてみてください。

Q1 特恵関税の適用を受けようとする物品の輸入申告書の際に原産地証明書を税関長に提出する必要がない場合は、税関長が物品の種類若しくは形状によりその原産地が明らかであると認めた物品又は課税価格の総額が20万円以下の物品である場合に限られる

第50回通関士試験 関税法等 第26問選択肢5、第51回通関士試験 関税法等 第26問選択肢3

Q2 経済連携協定における関税についての特別の規定による便益の適用を受けようとする特例申告貨物を輸入する特例輸入者は、当該特例申告貨物に係る締約国原産地証明書を、必ず税関長に提出しなければならない

第50回通関士試験 関税法等 第20問選択肢2

答えは2つとも✖です。Q1は、特例申告貨物の場合も基本的に提出不要なのに「限られる」と書いてあるから✖。Q2は、「必ず」提出する義務はないから✖。

ちなみに、マーク式資格試験テクニックの一つとして、「すべて」「必ず」「~であっても」「限る」「のみ」などの断定や限定の表現があったら間違いのことが多いというのがあります。分からない問題のとき消去法で回答するのに役立つので覚えておくとよいです。

資格マニアが教える!択一問題・マークシートをヤマカンで正解する7つのコツ | モロトメジョー税理士事務所 (useacc.com)

では、次の問題はどうでしょう。

 Q3 関税定率法第5条(便益関税)の規定による便益の適用を受けて輸入しようとする貨物については、当該貨物の課税価格の総額が20万円以下のもの及び当該貨物の種類、商標等又は当該貨物に係る仕入書その他の書類によりその原産地が明らかなものを除き、税関長は、当該便益の適用を受ける外国の生産物であることを証明した原産地証明書を提出させることができる

第48回通関士試験 関税法等 第8問選択肢1 

私はこの問題を最初に解いたとき、「便益関税は特例申告貨物も提出不要なのに除かれてないから✖だ」と思ったのですが、正解は〇です。

この問題のポイントは、語尾が「提出させることができる」であって、「提出させなければならない」ではないことだと思います。

特例申告貨物なら常に提出不要なわけではなく、提出させる場合もあります。だから「提出させることができる」は間違ってないのです。

通関士試験仕様の読解力を身につけるための語尾の勉強 | ワリオの通関士試験一発合格ブログ (tukanshiori.com)

2020年版フォーサイト、ヒューアカ、合格の基礎知識、合格ハンドブックは単に「特例申告貨物」と書いてあるので誤解した

2020年版の話ですが、この4つのテキストは、原産地証明書の提出が不要な場合の列挙の中の特例申告貨物について、

  • 協定税率・便益関税:特例申告貨物
  • 特恵関税:特例申告貨物(提出の必要があると税関長が認めるものを除く。)
  • EPA税率:特例申告貨物

というように、特恵関税のみカッコ書きをして、協定税率・便益関税、EPA税率については「特例申告貨物」としか書いていませんでした。私はこれをもとに、便益関税の適用を受ける場合は特例申告貨物なら原産地証明書が不要だからQ3は✖だと思ったのです。

2020年版スピードテキストは協定税率・便益関税、EPA税率で「特例申告貨物」をあえて書かず、特恵関税だけ書いていた

これも2020年版の話ですが、スピードテキストは協定税率・便益関税、EPA税率で原産地証明書の提出が不要の場合として「特例申告書」をあえて書いていませんでした。

協定税率・便益関税

  1. 課税価格の総額が20万円以下の貨物
  2. 貨物の種類、商標等又は当該貨物に係る仕入書その他の書類により原産地が明らかな貨物

EPA税率

  1. 課税価格の総額が20万円以下の貨物
  2. 税関長が貨物の種類又は形状によりその原産地が明らかであると認めた貨物

特恵関税については他のテキストと同様にカッコ書きが書いてありました。

では実際の条文を見てみましょう。

特恵関税の条文

特例申告貨物であっても、提出の必要があると税関長が認めた場合は提出させます。

特恵受益国等を原産地とする物品(以下「特恵受益国原産品」という。)について、法第8条の2第1項又は第3項の規定の適用を受けようとする者は、当該物品が特恵受益国原産品であることを証明した書類(以下「原産地証明書」という。)を税関長に提出しなければならない。ただし、次に掲げる物品については、この限りでない。

(1)税関長が物品の種類又は形状によりその原産地が明らかであると認めた物品

(2)課税価格の総額が20円以下の物品(前号に掲げる物品に該当するものを除く。)

(3)特例申告貨物である物品特恵受益国原産品であることを確認するために原産地証明書の提出の必要があると税関長が認めるもの及び前2号に該当するものを除く。)

関税暫定措置法施行令第27条

関税法基本通達67―3―4 (輸入申告書の添付書類)には、特例申告貨物であっても関税の徴収の確保に支障があると認められる場合には輸入申告書に添付させることが書いてあります。

(4) (EPA税率略)特恵税率(暫定法第8条の2第1項又は第3項に規定する税率をいう。以下この章において同じ。)の適用を受けようとする貨物に係る関税暫定措置法施行令第 27 条第1項に規定する原産地証明書これらの貨物が特例輸入者に係る特例申告貨物である場合を除くものとし、特例委託輸入者に係る特例申告貨物については、当該輸入申告の依頼を受けた認定通関業者が締約国原産地証明書等又は原産地証明書の確認を的確に行っていないことその他の理由により関税の徴収の確保に支障があると認められる場合に限る。

関税法基本通達67―3―4 輸入申告書の添付書類(4)

EPA税率の条文

特恵税率と違い、関税法施行令には特例申告貨物のことが書いてありませんが、関税法基本通達67―3―4(輸入申告書の添付書類)には、特例申告貨物であっても関税の徴収の確保に支障があると認められる場合には輸入申告書に添付させることが書いてあります。

当該貨物が経済連携協定の規定に基づき当該経済連携協定の締約国の原産品とされるもの(以下この号において「締約国原産品」という。)であることを証明した又は申告する書類(税関長が貨物の種類又は形状によりその原産地が明らかであると認めた貨物(インドネシア協定又は東南アジア諸国連合協定における関税についての特別の規定による便益の適用を受けるものを除く。)及び課税価格の総額が20万円以下の貨物に係るものを除く。)

関税法施行令第61条第1項第2号イ

(4) EPA税率の適用を受けようとする貨物に係る令第 61 条第1項第2号イ(1)に規定する締約国原産地証明書若しくは同号イ(2)に規定する締約国原産品申告書(特恵税率略)(これらの貨物が特例輸入者に係る特例申告貨物である場合を除くものとし、特例委託輸入者に係る特例申告貨物については、当該輸入申告の依頼を受けた認定通関業者が締約国原産地証明書等又は原産地証明書の確認を的確に行っていないことその他の理由により関税の徴収の確保に支障があると認められる場合に限る。

関税法基本通達67―3―4 輸入申告書の添付書類(4)

協定税率・便益関税の条文

EPA税率と同じく、関税法施行令には特例申告貨物のことが書いてありませんが、関税法基本通達67―3―4(輸入申告書の添付書類)には、特例申告貨物であっても関税の徴収の確保に支障があると認められる場合には輸入申告書に添付させることが書いてあります。

法第68条の便益(次号の便益を除く。)を適用する場合 当該貨物が当該便益の適用を受ける外国(その一部である地域を含む。)の生産物であることを証明した原産地証明書(課税価格(中略)の総額が20円以下の貨物及び貨物の種類、商標等又は当該貨物に係る仕入書その他の書類によりその原産地が明らかな貨物に係るものを除く。)

関税法施行令第61条第1項第1号

「法第68条の便益(次号の便益を除く。)」=協定税率・便益関税

次号の便益=EPA税率

(5) 協定税率の適用を受けようとする貨物に係る原産地証明書(後記 68-3-7の方法により令第 61 条第1項第1号に規定する原産地証明書の提出が必要な場合に限る。ただし、当該貨物が特例輸入者に係る特例申告貨物である場合にはその提出を要さず、特例委託輸入者に係る特例申告貨物である場合には、当該輸入申告の依頼を受けた認定通関業者が原産地証明書の確認を的確に行っていないことその他の理由により関税の徴収の確保に支障があると認められる場合に限り、その提出を要するものとする。) 

関税法基本通達67―3―4 輸入申告書の添付書類(5)

法第68条はこれです。

税関長は、第67条(輸出又は輸入の許可)の規定による申告があつた場合において輸出若しくは輸入の許可の判断のために必要があるとき、又は関税についての条約の特別の規定による便益(これに相当する便益で政令で定めるものを含む。)を適用する場合において必要があるときは、契約書、仕入書その他の申告の内容を確認するために必要な書類又は当該便益を適用するために必要な書類で政令で定めるものを提出させることができる。

関税法第68条

「これに相当する便益で政令で定めるもの」=便益関税

関税定率法第五条の規定による便益関税の適用に関する政令 | e-Gov法令検索

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